足底腱膜炎
足底腱膜炎とは
足の裏のアーチを形成する足底腱膜が歩行や運動などでストレスを受け炎症を引き起こし歩行時の足の裏の痛み、踵の痛みなどを引き起こします。
原因
足底腱膜への繰り返されるストレスが原因で生じる障害です。
足底腱膜の付着部である踵(かかと)は歩行や運動により圧迫・牽引・捻転などの力学的負荷を受けやすく、微細な損傷が繰り返されます。
様々な要因により、足のアーチの機能が低下し衝撃吸収作用が機能しなくなると、足部にかかる負担はさらに大きくなり発症に至ります。
さらに、繰り返されるストレス対して治癒が追いつかなくなると、慢性的に組織の硬さが進行し、柔軟さを失うことでさらにアーチ機能の低下を招くという悪循環が生じて、進行すると踵に骨棘(骨のトゲ)が形成され、歩行の度に鋭い痛みを引き起こします。
症状と経過
主症状は歩行時の踵の痛み
朝起きた時の1歩目の痛みが特徴的です。
長時間の立ち姿勢、座り姿勢の後はしばしば強い痛みを伴います。
初期
活動初期は痛みが強い。時間経過とともに痛みは軽減。
進行期
歩行時痛みのために踵をつくことができない。時間経過しても痛みが軽減せず活動中痛みが持続する。
発生要因
1)足の骨の並び(以下:アライメント)の影響
・過回内足
足のアーチが過剰に低下している足、踵が内側に傾き爪先が外に向いてしまっている足のアライメントのことを言います。
・過回外足
踵が外側に傾き、アーチが過剰に増加し爪先が内側に向いてしまっている足のアライメントのことを言います。
2)過度な運動負荷
長い立ち仕事や長時間の歩行、重量物の運搬に関わる仕事では足部にかかる負担が大きくなってしまいます。
また、アスリートにおいても過負荷な練習量や強度、靴の種類を変えたり、床が普段より硬い環境であると、足にかかる衝撃が大きくなり、発症に関与します。
3)年齢
40~60歳の中高年における発生率が高いことが報告されています。その主な理由としては、踵に存在する脂肪体の萎縮や腱線維などの退行性変性との関連が示唆されています。
4)BMI
一般の方を対象とした報告では、BMIが25以上でその発生率は2倍にも増加すると言われています。ただし、アスリートではその関連性は認められないとの報告もあります。
5)骨棘による影響
踵の骨には色々な筋肉や組織が付着しており、その牽引ストレスにより骨棘が生じることがあります。しかし、骨棘の有無と臨床症状(痛みなど)に必ずしも関連性があるとは認められていません。
リハビリ内容
1)足の骨の並びの修正
周囲にある筋肉などの軟部組織のストレッチなどをすることで踵の骨の位置を修正し、その先にある前・中足部の位置関係も筋肉のほぐしをすることで、全体の捻れを直すことができます。
2)各関節の可動域改善
下肢の可動域制限があると、その制限による運動のしにくさを、足部やふくらはぎの筋肉を使って代償しようとします。
特に、股関節の伸展(足を後ろに上げる)可動域が低下していると、下肢全体を外に回して外股のような歩き方で代償してしまいます。前に進まなければならないのに足先が外に向くので、足部を捻って使ってしまうのです。
そのため、足関節や股関節周囲のストレッチを行うことがとても重要となります。
また、胸椎や胸郭の可動性が低下していると、猫背や反り腰につながってしまい、体幹の筋力をうまく使えません。必要によっては上半身のストレッチも行います。
3)体幹や殿筋群のトレーニング
反り腰や猫背、腹圧の低下(腹筋や背筋の弱さ)により足部にかかる負担は大きくなります。
そのため、根本解決には、体幹筋力のトレーニングが必要になります。
参考書籍:
足部スポーツ障害治療の科学的基礎
疾患別整形外科理学療法ベストガイド 下肢編
アスレティックリハビリテーションガイド
特殊治療 (保険適応)
収束型体外衝撃波治療
国内でもまだ導入が少ない"デュオリスSD1"を用いた、収束型体外衝撃波治療を行っています。圧力波によって深部組織に衝撃波を加えることで原因となる傷害組織を破壊、組織の活性化を図り代謝促進を促すことで自己治癒力が大きく改善します。
患部へ約2500発の圧力波刺激を加えます
状態に合わせて一定期間おき、2から3回の複数回照射を行います。難治性の足底腱膜炎に対しては保険適応です。
疾患や患部の程度により治療効果や治癒期間が異なりますが、
平均治癒効果として60~80%の患部改善が報告されています。